ライブドア事件とは、虚偽の有価証券報告書の提出をはじめ株式市場に虚偽情報を流しライブドア及びその役員等が同社株価及び関連会社株価を不当に高く吊り上げ、その結果、本来あるべき株価よりも高い株価で購入させられた一般投資家が多大な損害を被った事件である。
 M&A戦略を基軸とし「時価総額世界一」を標榜したライブドアにとって、自社株価を年々高騰させることはまさに至上命題であった。
 ところがライブドアは、本来業務の売上げについてさほど成長を遂げておらず、会社本来の業績発表によっては自社株価を急騰させることは極めて困難な状況にあった。
 そこでライブドア及びその役員等は、『ライブドア自社株を売却し、その売却益をあたかも本来業務による売上利益であるかのように装う』などの自作自演のまやかしを使うことによって真実と違って業績を大幅黒字化させ、同社株価を高騰させることを図ったのである
 平成18年1月16日、東京地検特捜部による家宅捜索を皮切りに、ライブドアの上記企て及び真の業績状態が明らかとなった
 その結果、ライブドア株価は暴落し、同社の真実の業績状態を前提とした本来あるべき価格に落ちついたが、これによって一般投資家の購入当時の株価は、本来の株価よりも不当に高額であったことが発覚したのであった。
 ライブドア事件は「市場に於ける詐欺事件」であり、株式市場の公正さに対する信頼を毀損した重大犯罪である。現代資本主義の根幹たる株式市場の公正な価格形成機能を死守するためには市場に対する犯罪者には厳罰が下されなければならない。そしてそれには刑事責任の追及だけでなく民事損害賠償が確実に実現されなければならない。なぜならば、発生した被害が確実に回復されなければ救済にはならないことは勿論であるが、犯罪者に経済的打撃を与えるのでなければ違法行為抑止効果は不十分だからである。市場での不正行為は経済的利得を動機とすることが多い。刑務所からでてきても一生遊んで暮らせる犯罪利得が残っているなら刑罰の犯罪抑止効果は無いに等しい。ライブドア事件は過去に何度も発生した「市場での詐欺事件」の1つであるにすぎないが、立証困難性ゆえに過去に成し遂げられなかった民事損害賠償が確実に実現され、民事損害賠償の違法行為抑止効果が打ち立てられたという資本市場の発展の上での一里塚となるのである。